脳性まひ者 しんやのひとりごと

脳性麻痺による両上下肢機能障害と共に生きる筆者が、折にふれ、浮かぶ思いをつづる。

2016-01-01から1年間の記事一覧

建物がゆれて

自宅の部屋にひとり、ぼくは布団の中で眠っていた。携帯電話につないでいるスピーカーフォンが、枕もとでさわいでいる。 「地震です。地震です」 寝ぼけ眼でテレビのリモコンを押そうとするが、手があさってのほうへいってしまう。脳性まひという障害のため…

ハロウィンの魔法使い?!

暗闇でひとりになると、とたんに静電気や建物のきしむ音がする。就寝介助が終わって部屋の明かりを消し、ヘルパーさんが、おやすみといって玄関を出たあとだ。 ちなみにぼくには脳性まひという障害があり、手足が満足には動かせない。介助が必要なため、日中…

並んだご婦人さんに

散策への道すがら、キンモクセイの香りが、ほのかに漂ってくる。近くの家の庭に木があるが、もう咲いたのだろうか。 アスファルトの路面を枯れ葉がちらほら、乾いた音をたててころがっていく。 長町南はこのところ、雨の日が続いていたので自宅にいる日が多…

役所へ用があって…

昼過ぎまで自宅に訪問していたヘルパーさんが帰るとき、玄関の外の電動車いすへ移乗してもらい、 「お気をつけて……」 役所へ用があって、ひとりで向かった。 平成二十八年八月二十四日、長町南(仙台市)は午前中曇っていて、 「ひとりで外を行くには、ちょう…

障害者である前に

電動車いすで進む路面に、建物の影がくっきり浮かびあがる。 雲間からの陽の光が並木の葉に映え、目を細めた。 平成二十八年七月二十九日、長町南(仙台市)は朝のうち雲が広がっていたが、徐々に陽がさしてきた。 昼前、自宅玄関から外の電動車いすに乗せても…

手をかりずとも、ぼくだけの小さなしあわせ

窓辺で膝立ちになり、いくらか利くほうの左のひじで、レースのカーテンをめくる。 空には暗い雲がひろがって、道の並木の葉がゆれていた。雨が降って、どんよりしたけしきが広がっている。 うでを引っ込め、レースのカーテンが閉じる。 平成二十八年六月三十…