自宅の部屋にひとり、ぼくは布団の中で眠っていた。携帯電話につないでいるスピーカーフォンが、枕もとでさわいでいる。 「地震です。地震です」 寝ぼけ眼でテレビのリモコンを押そうとするが、手があさってのほうへいってしまう。脳性まひという障害のため…
しんと静まりかえった夜、部屋で布団に寝ていると、虫の声が外からしてくる。もう秋か、とひとり呟く。 会う人だれもが、 「なんか、ことしは、早かった気がするなぁ」 微笑しながら、ぼくもうなずく。 千年に一度ともいわれる大きな地震があった。長町南(…
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