脳性まひ者 しんやのひとりごと

脳性麻痺による両上下肢機能障害と共に生きる筆者が、折にふれ、浮かぶ思いをつづる。

あんなちっちゃい子なのに…

 電動車いすを操作しながら、ザ・モール仙台長町のショッピングセンターで品物を見てまわっていると、四つくらいの男の子と目が合った。
 こんにちは、と言うと、かるく頭をさげた。脳性まひで、ことばがはっきりしない。けれど、通じたらしい。
 品物を選んでいるらしい女の人は、きっと、ママなんだろう。そこを通りすぎる。
 さっきの子が電動車いすと並んで歩いていた。あれ、ママと、はぐれちゃうんじゃないのかな。
 ぼくの運転しているこの電動車いすは、ブラックシートである。しばらく乗っていると、暴走族かヤクザの車をマネたみたいで、なんとなく落ち着きがわるくなった。そうでなくとも、この冴えない身なりには、色選び、ちょっと失敗しちゃったな、と気になっている。
 小さい男の子からすると、この電動車いすは、やっぱりほしかったりするのかなぁ。
 男の子は、「助けてあげなきゃ」という表情で、じっとこちらを見ている。どこかの冴えない雰囲気のオッさんが、電動車いすでうろうろしている。迷子になったんじゃないか。心配して、ついてきたみたいだ。
「だいじょうぶだよ。ありがとう」
 すると男の子は、ほっとした顔になる。こちらです、どうぞと手招きした。ホテルマンが案内するようなジェスチャーで、クスッとしてしまう。そのまま電動車いすで進んでいくと、バイバイと戻っていった。
 あの子ぐらいのころは、何を考えていたんだろう…。
 しみじみと、ため息をつく。
──障害があっても、ぼくは大人だ。しっかりしなきゃ。
 あの子のやさしさが、胸にしみる…。