ポスター
部屋の中にいても、いろいろやっているうちに、疲れがたまってくるものである。そんなときは、布団の上に這い上がり、ふぅとひと息をつく。
部屋を見まわしながら、ふと思った。白っぽい壁ばかりで、なんかさびしいなぁ。
ぼくが障害者の施設を出たのは、きょねんの十一月だった。アパート暮らしになって、もう半年以上はすぎたのだ。
「だいぶ、なれてきたんじゃないですか」
ときかれることがあり、
「そう、ですね。少しよゆうも出てきたんで…」
と、ぼくは答える。
すると、さらにいろんなところへ気がむくようにもなり、部屋の雰囲気なんかも、なんとなく気になってくる。
疲れたとき、少し気が休まるような空間にしたいなぁと思った。
ネットで探してみる。
すると、出てきた、出てきた。緑の木の葉がいっぱいで、ホッとするようなポスターが…。
さっそく二枚ほど注文し、貼ってもらった。
それだけでも、ずいぶん気が休まるようになった。
お借りしている部屋なので、跡の残らない、貼ってはがせる両面テープ、というのを使ってみているのだが、しばらくたつと、はがれてしまうようだった。
こんどはがれたら、テープを増やしてみたらどうかとも思うが、壁紙が、凸凹だからなのかもしれない。
なにかいい方法ないのかなぁ。もし、ご存じの方がいれば、ぜひ教えていただきたいと思うのだが…。
ぼくのところへ来てくれる人たちも、そして居宅介護サービスのヘルパーさんも、
「なんか、涼しげな感じで、いいですねぇ」
ちょっとのあいだ、一息ついて、眺めているようだった。