脳性まひ者 しんやのひとりごと

脳性麻痺による両上下肢機能障害と共に生きる筆者が、折にふれ、浮かぶ思いをつづる。

へんなゆめ

 十畳ぐらいの部屋がいくつかある、白っぽい建物の中に、なぜかいた。
 知らない14、5の子たちばかりがたくさんいて、ぼくは、下級生になっている。
 みんな何かを待っているようだが、それがわからない。絵を描いていたり、小物を組み立てたり、あるいはおしゃべりしていたり、それぞれかたまって、すきなことをしていた。
 それより、これからみんな、どこへ行くのか、と、だれかに聞きたかった。
「ちょっとだけ、いっしょに行ってみる?」
 上級生らしいお兄さんが、かがんで聞くので、うなずいた。
 外へ出ると、幅の広い道が、建物の前にあった。渡った先に、楽しいところがあると、みんながいっている。
 いっしょに行こうとした。空から大人の声が響き、
「やってない勉強があるんじゃないか。いま来たいっていわれても、困るんだよ」
 言葉にならない思いが、間の抜けた声にのって少しだけ伝わってきた。白なら白、黒なら黒、びしっとできるように、なってほしいんだよ、と…。なんとなく、いまのぼくの心の問題をつかれているようで、ちいさくなっていると、目が覚めた。
 そうか、ぼくはもう子どもではなく、47のオッサンなんだ。時計をみる。起床介助のヘルパーさんがくるころだった。
 どこへ行こうとしていたんだ。よくわからん夢だったなぁ…。介助中、ぼんやりした頭で、首をかしげていたかもしれない。
「どうか、されましたか」
 こういうヘンな夢をみたんです、というと、ちょっと心配げに、
「これって」
 言われてあらためて、
「えっ、マジ、あの、あれ、ですかね」
 それより、あの空から響いた声が、いまもぐさりと、胸に残っている…。