脳性まひ者 しんやのひとりごと

脳性麻痺による両上下肢機能障害と共に生きる筆者が、折にふれ、浮かぶ思いをつづる。

う~む これを前向きに、といってもね……

 きのうの昼ごろ、玄関の戸が開いて、
「おいっす」
 実家の母が、アパートで暮らしている息子のようすを見に来たのでした。
「いやいや、つまんね。なんで、こんなんなったんだべなあ」
 ため息をもらしていたので、なにか、あったのときくと、
「外さ出っと、店のいすにでも腰かけで休むっちゃ。すっと知らない人ともしゃべっぺ。それがお互い気晴らしになってたのね。いま、どこさいっても、シーンとして、だれもしゃべるひといねんだもん」
 まったくそのとおりだと、いつしかいっしょになって、その話をしていました。
 ことしは新型コロナウイルスに振り回されつづけた一年です。テレビではさかんにその危険性を報道しています。うつるのも、うつすのも、こわい。ぼくも電動車いすでひとりで散策するのを控えていたし、ストレス解消のカラオケ店も行っていません。出かけるのは介護サービスを利用しての用足しぐらいです。
 テレビもラジオも「人との距離をたもってください」「なるべく会話は控えてください」。このコロナウイルスは、まるで人と人を、引き離したい、という意思でもあるのかと思いたくなります。それをむりやり前向きに受けとめるとするならば、
〈これまでのがんばりは認めるけれど、ちょっと方向が違うから、気づいてほしい〉
 そんな感じになるのでしょうか。
 いまの生活状況を、なんとか前向きに受けとめられるヒントはないかと、たくさん本を読みました。そうです。毎日が楽しければ、わざわざそんなに本なんて読まないのです。その意味ではたぶん、作戦タイムで中断している時期なのかも。と妄想してみますが、やはりこれがずっと続くのは、つらい。
 フランクに人と交流できないのは、さびしいです。この冬は寒いのでなおさら、ほっとするような心のぬくもりを感じられる、そういうふれあいが恋しくなるときがあるかもしれないですね。
 あしたはクリスマスイブです。
 母は、フィギュアスケート羽生結弦くんの切り抜きをながめて過ごすそうです。ぼくは本田望結ちゃん、森七菜ちゃんの天使の笑顔をYouTubeでながめてすごそうか、と思います。